日本は、魚に名前をつけるのが上手というか繊細な国ではないでしょうか?魚の成長する過程で名前をつけていきます。例えばブリという魚は、関東では小さい頃をワカシとよび、大きくなったらブリと呼びます。

さらに地方によってはブリより若い頃は日本各地で呼び名は異なります。
下の表のように関東と関西と九州では呼び方が異なり、養殖したブリはハマチと呼ばれますが、これは西日本の呼び名のようです。
お寿司屋さんで、ハマチとブリを頼むことがありますが、この2つは実は同じ魚なのです。
少し、混乱しそうですね。

でも、このようなことが私達自身にもITではよくおこっています。それが「キャリアパス」です。

大きさ20cm40cm60cm80cm
関東ワカシイナダワラサブリ
関西ツバスハマチメジロブリ
九州ワカナゴヤズコブリブリ

キャリアパスがないと損

とあるイベントで、中級者を対象にしたUXのイベントをひらきました。そこでは、あらかじめ中級者ということを対象にしていましたが、開催の当日に自己紹介で初心者もまじっているのがわかりました。しかし、講座の内容を直前で変更するわけにはいきませんので、中級向けの内容をおこないました。

受講後にアンケートをみると、「わからなかった」というコメントが散見されました。自分は、中級者向けの内容を講演したのですから、初心者には内容はわからないものが多かったと思います。

わからないのは当然のことです。自分にあわないレベルの話をされたのですから。これは初心者がいきなりスキー靴をはかされ、山の頂上からスキーで滑り降りるようなものです。
結果、講師も受講者も時間を無駄にしてしまったのだと思いました。イベント主催者を責めるつもりはなく、何故そうなったのか?が、むしろ疑問でした。

繰り返し中級者向けは告知していたはずです。見落としたのかもしれませんが、それは考えにくいことでした。そこで一つ以前から思いあたる節が受講者の中には「自分のスキルを測れないのではないか」ということです。

自分がどのレベルかわからない

UXデザイナーといっても、勉強をはじめたばかりの人もいるかもしれませんし、経験を積んで勉強もしている人もいるかもしれません。また、中級者という定義があるわけではありません。

今はUXデザイナーという言葉の枠が非常に大きいのだと思います。これを解消するためには、UXデザイナーのどのレベルなのか、自分も他人も共通で理解できる尺度が必要でしょう。その共通理解がなければ、自分がどのレベルにいて将来どのくらい経験やスキルアップのために勉強しなければならないのか自覚できませんし、求人をする人も誰を求人したらいいのか困るでしょう。

日本の求人票と海外の求人票からわかった決定的違い

下記の図はアメリカのプロダクトマネジメントのコミュニティのProduct Schoolの求人の票です。これを日本のとあるプロダクトマネジメントの会社の、求人票といくつか比較してみました。

  1. 日本は学歴を問う事が多い。アメリカもたまにある。
  2. 日本は求める領域の年数が記載されていない
  3. 日本はソフトウェア Figma Photoshopなどの具体名を多く記述している
  4. 日本はフレームワークの名前が頻繁にでてくる。(ジャーニーマップ)
  5. 日本はスキルの記述が多い。
  6. アメリカの求人は求めるメンタルについて記述してある。「失敗をおそれないこと」など。
  7. アメリカは、シニア・アソシエイトなど役職の前に記載されてある。日本の求人では今回0件。
Product Schoolの求人票

おそらく、アメリカはシニア・アソシエイトなどの記述が多いのは、その言葉で経験年数などある程度共通の理解が求人側と求職側にあるのでしょう。

アメリカのカンファレンスに参加すると、事実「自分はシニアデザイナーの〇〇です」と自己紹介する人もいます。

そういった「シニア」とか「ジュニア」という言葉があることで、自分のスキルレベルがはっきりと表現できるのです。学歴を問わないのは、その職域でのスキルを表現する別の言葉があるのが理由だとおもいます。

PdMのキャリアパスてどうなってるの?

プロダクトマネジメントの役割による責任の違い

PdMのキャリアというのは大きく6段階ぐらいに分かれています。あくまで、Product Institute Japanとしての定義で、キャリアの分け方は他にも存在しています。しかし、大きくことならないでしょう。

  1. アソシエイト・プロダクトマネージャー
  2. プロダクトマネージャー
  3. シニア・プロダクトマネージャー
  4. ディレクター/グループ プロダクトマネージャー
  5. バイス・プレジデント
  6. CPO

何でもない人

学生、エンジニア、UXデザイナー、プロダクトマネージャーのキャリアパスには色んなパターンがあると思います。ただ、給料が上がるからといって役職名をプロダクトマネージャーにするのはやめましょう。名前だけ変更するのは雇用する人を混乱させてしまいます。

アソシエイト・プロダクトマネージャー

これはエントリーレベルのプロダクトマネージャーであり、PdMのキャリアパスの最初のステップです。ここで期待されるのは、プロダクトマネジメントの基本的な理解と、学習に貪欲であることです。ユーザーへの共感し、機会を見出し、複数の人をまとめて同じ目標に向かって努力する情熱を発見することから始めます。すべての関係者を考慮し、異なる視点を取り入れ評価し、最終的に明確な決定を下す能力を証明するチャンスなのです。

プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーのキャリアパスでこの役職へたどり着くにはプロダクトマネジメントの経験は必須ではありませんが、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、優先順位付けのスキルが求められます。

プロダクトのライフサイクル全体を見通し、チームの窓口となり、開発者と他のチームメンバーをつなぐ役割を担います。プロダクトの価値提案を理解し、顧客の問題やニーズを理解することが重要です。しっかりとしたPdMになるために、会社の戦略を支えるプロダクトの構想を作る

しっかりとしたPdMになるために、会社の戦略を支えるプロダクトの構想を作る

シニア・プロダクトマネージャー

この役職はプロダクトマネジメントの経験と実務経験が必要となります。
自分で考え、率先して行動し、複雑で相互に依存する要因を確実に分析し、重大な決定に対して責任を持つ必要があります。プロダクトやマーケットの状況に関する深い知識や、ストレスの多い状況を乗り越えなければなりません。

シニアPdMは、ジュニアやミッドレベルのPdMとほぼ同じ業務ですが、会社のミッションに重要なプロダクトを担当します。

シニアPdMは、他のジュニアPdMをコーチングしたり、指導をします。また、組織内のプロダクトリーダーと密接に連携してプロダクト戦略を実行する立場でもあります。他のプロダクトマネージャーが活動している間に、シニアPdMはより広範な製品プロセスに目を向けるようになり、徐々にシニアマネジメントに対するプロダクトチームの窓口となります

ディレクター/グループ プロダクトマネージャー

ディレクターレベルの役割には、豊富なリーダーシップの経験と、スタッフの邪魔をせずに必要な仕事を遂行できるチームを構築し、信頼する能力が必要です。より良いプロセスの構築や既存のプロセスの最適化、チーム全体のパフォーマンスの強化、組織全体のコンセンサスの構築に加えて、パフォーマンスの高いチームを構築するための採用活動を見守ることにも重点が置かれます。

プロダクトディレクターは、プロダクトマネジメントチームの他のメンバーのメンターとなることが多い

ディレクターの重要な仕事は、プロダクトチームの強みを会社の利益のために活用し、個々のプロダクトマネージャーが優れた能力を発揮できるように指導することです。ディレクターは、チームの代弁者でり、プロダクト戦略全体の大使のようなものです。ディレクターは、ビジネスや市場の上層部で行われている意思決定について、チームへ透明性を保つ必要があります。

バイス・プレジデント

プロダクトの開発プロセスに関わりますが、手をうごかすことはあまりしません。プロダクトチームが戦術的であるのに対し戦略的に動きます。

プロダクト組織の予算編成、プロダクトに関する戦略的な決定がビジネス目標に沿っているかどうかの検証、社内政治からプロダクトチームを守るなどを担当します。

VPの役割は、高いレベルでプロダクト中心の組織を実行できるようにし、ビジネス、Cレベルのステークホルダー、取締役会の仲介役もつとめます。

CPO

CPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)は、チーフ・イノベーション・オフィサーとも呼ばれています。企業内のプロダクト関連活動のすべてに責任を持つ幹部です。プロダクトポートフォリオを扱い、スタッフのリソース、予算、研究が望ましい結果をもたらす分野に投資されているかどうかを確認します。通常、このポジションは最高経営責任者(CEO)の直属です。CPOは、プロダクト担当副社長の延長線上に位置することもあれば、複数のプロダクト担当副社長を統括し、1人の製品リーダーにまとめることもあります。

まとめ

これまで私達は、自分がどのくらいのスキルレベルなのかわからないままキャリアをスタートさせてきたかもしれません。しかし、これでは、雇用側も求職側もそれぞれ人と職を暗中模索で、うまく組み合わさらず互いのロスも大きくなります。
キャリアパスを構築して定義するには、意識して資格をとるなりカンファレンスやワークショップに参加しながら実践で経験を積むことが必要です。
ただ、組織の中にいるだけで経験を積んでると考えても実践だけでもだめですし資格だけでもだめです。バランスをもってスキルを成長させなければなりません。

引用元

Product Manager Career Path Options