シェリル・マイケル CentralReach社CPO

私は、開発者、プロジェクトマネージャー、インプリメンテーションスペシャリスト( ソフトウェアの実装などを手伝う専門家)、プリセールスサポートとしてキャリアをスタートさせ、最終的にプロダクトマネジメントに辿り着きました。結果として、テクノロジーソリューションの設計、構築、販売、提供のさまざまな側面について独自の視点を得ることができました。 

この視点があるからこそ、プロダクト運用というテーマが私にとって重要なのです。 プロダクト業界のリーダーであれば、自分の勘や直感だけではチームや会社を前進させることができない状況に遭遇したことがあると思います。ステークホルダーからの反発、競争の激化、テクノロジーの変化など、成長が著しいテクノロジー企業では、プロダクトや市場、問題とソリューションの適合性に関連するデータやインサイトを常に収集する必要があります。しかし、データやインサイトを取りにいける一定のフレームワークがあれば、プロダクトリーダーとして効果的に行動し、実行する能力をいち早く向上させられると私は考えています。

製品の成長

プロダクト分野でどのようにして出世してきたのか、誰もがそれぞれの背景を持っています。技術的なバックグラウンドを持っていても、ビジネスのバックグラウンドを持っていても、それらの経験がプロダクトリーダーシップを形成するのです。

特定の経験は周りのプロダクトリーダーとは大きく異なるかもしれませんが、プロダクトリーダーシップは全体的に成長のパターンをたどる傾向があります。これまで一緒に仕事をしてきたプロダクトリーダーの成長に重ね合わせると典型的なプロダクトリーダーの成熟モデルは次のようになります。ビジネスの成長を目的とするアイテムに焦点を当てた場合、最終的な成熟度はCPOレベルになります。

素晴らしいチームの構成

初期の段階では、主要なプロダクト分野で戦術的な経験を積むために、内容領域専門家としてスタートします。私たちはプロダクトのエバンジェリストとなり、市場に何があって何がないのかを理解することを通して専門知識を身につけようと努力します。このような市場と顧客に対しての理解をベースとしてプロダクトが解決すべき問題のロードマップを作成します。

さらに進むとチームの構成の仕方、複数プロダクトの扱い方、ポートフォリオの管理、競合他社の情報収集、営業やマーケティングとの連携、価格設定やパッケージングなど、様々なノウハウを学んでいきます。戦術的な経験から戦略的なビジョンに至るまで、プロダクトリーダーはエンジニアリングとプロダクト開発をビジネスの価値に結びつけることを学びます。

プロダクトリーダーが成熟期に移行すると、証拠に基づく意思決定が行われるようになります(すなわち、プロダクトオペレーション)。レベルアップすると、データを活用して意思決定を行い、組織、エグゼクティブ・リーダーシップ、取締役会全体の整合性を図るようになります。

ポートフォリオの管理を上手におこなうには、プロダクトが市場でどのように機能しているかを見つけ出し、どこにリソースを投入すべきかを理解し、収益性を高める方法を考え、プロダクトを終了させるタイミングを知るために、データに基づいた手法が必要になります。プロダクトリーダーとしてより戦略的になればなるほど、データの重要性は増していくのです。

プロダクトのCEOであること

私がプロダクトの世界に足を踏み入れた時、周りの誰もが「プロダクトのCEO」になる必要があると言っていました。これまでの経験から、自分のプロダクトのCEOになるというのは、常に学び続ける旅のようなものであると、ということが分かりました。

しかし、旅のようなものだと分かる前は、最高のCEOを研究することから始めました。すばらしいビジネスを推進の重要な素養として、CEOたちにはいくつかの特徴があることがわかりました。

それは、優れたCEOは常に事業運営に強い関心を持ち、事業データやKPIを活用して結果を出していたことです。

私はこのCEOの考え方を、プロダクトのリーダーシップにも応用しました。自分のプロダクトのオペレーションをしっかりと把握するためには、何をしっかりと把握しなければならないのか、ということです。私の頭の中には、自然とある種の内的要因と外的要因が浮かびました。

優れたリーダーは、組織の目標達成能力に影響を与えそうな内部要因について、非常に重要と考えています。

プロダクトリーダーにとって、「プロダクトの構築、導入、顧客サポート、顧客維持には何が必要か」、つまり、「成長を支えるためには何をしなければならないのか」という疑問があります。

この疑問は、オンボーディング、カスタマーサクセス、トレーニングなどの重要な疑問も巻き込みますが、研究開発をおこなう組織における主要な「目的」を果たす4つの明確な質問が中心となります。

研究開発組織の能力の外には、市場適合性、セグメンテーション、価格とパッケージ、競合他社との差別化など、重要な外部要因があります。これらはすべて、プロダクトを市場に出して販売する能力に関連しています。直感的にはセールス&マーケティングに分類されるかもしれませんが、プロダクトのポジショニングと方向性という観点から考えると重要です。

そのため、プロダクトリーダーは内的要因と外的要因を理解するために、さまざまな情報を収集します。プロダクトリーダーは、お客様と対話し、お客様がプロダクトに何を求めているかを理解します。また、営業、マーケティング、カスタマーサクセス、カスタマーサポートなどの社内の関係者も話をします。関係者は、実際にプロダクトを販売、実装、サポートしている人たちであり、競合プロダクトと比較してプロダクトがどのような位置づけにあるかを理解します。プロダクトリーダーは、市場調査を行い、競合他社の情報を収集します。

さて、様々な情報を収集した後、いよいよ行動を起こす時でしょうか?

まだです。自分の洞察力や勘を裏付ける事実やデータが必要です。

プロダクトのオペレーションのベースライン化

事実と洞察(事実を見抜くこと)のデータベースを構築するには、組織全体のあらゆるデータが集めなければなりません。このデータは、営業、カスタマーサクセス、人事など、組織のあらゆる部門から集められるべきです。無論、部門を超えて集められる重要性は、いくら強調しても足りないくらい重要です。

部門を横断してデータを集めれば、ポートフォリオのパフォーマンス、顧客セグメンテーション(どこからお金が来て、どこでお金が動いているのか)、R&D投資の行方(電気をつけっぱなしのコストはどのくらいか、イノベーション費用はいくらなのか)、潜在的な収益とコストのレバー(どこでコストが上昇しているのか、何が将来の成長の原動力になるのかなど)を把握することができるはずです。

横断的なデータの要素を理解すれば、組織内で信頼と連携を作り上げることができます。ロードマップを裏付ける証拠を提供し、プロダクトへの追加投資や支出に関する意思決定を簡単にできるように促し、真の価値に基づいた価格設定の議論をすすめたり、成長を促すトレンドを深く理解できます。つまり、意思決定を裏付けるデータがあれば、役員、同僚、エンジニアを問わず、あなたの意思決定を後押しします。

では、これらの洞察を生み出すためには、どのようなデータを見ればよいのでしょうか。そこで登場するのがプロダクトオペレーションです。 高度なプロダクトオペレーションを行うには、組織内のさまざまな情報源を集約する必要があります。セールスフォースからの顧客データ(例:勝敗、パイプライン)、契約レベルのデータの総勘定元帳、Zendeskからのカスタマーサポートチケット、Pendoからのプロダクト使用データ、JIRAからの作業管理データ、Ahaからのイニシアチブなどを集約する必要があります。以下は、さまざまなデータソースを見て、それぞれからどのような情報を引き出しているのかを示す例です。

さて、これらのデータや洞察をどのように行動に移すのでしょうか?プロダクトリーダーなら、プロダクトのオペレーションに関するさまざまな視点を理解していなくてはなりません。しかし、エクゼクティブチームや取締役会に対しては、意思決定を誘導するためにデータからストーリーを構築する必要もあります。「今日おこなった投資はどこへ向かっているのか」という問いに答えなければなりません。持続的な成長のために何を優先すべきか?コスト削減のためにはどこに目を向けるべきか?リソースをどのように配分するべきか?役員や取締役会の目標を理解し、それをもとにストーリーを語りましょう。 データに基づいてプロダクトポートフォリオ戦略を構築することで、主要なステークホルダーと役員全員が、明確で測定可能な行動計画に基づいて調整することができます。

チームのプロダクトオペレーションのレベルアップ

時間の経過とともに、プロダクトチームの中で根拠に基づいた意思決定やプロダクト運用も成熟させなければなりません。プロダクトリーダーの成熟度モデルと同様に、プロジェクトマネージャーも同様にある程度の一定のスキル開発の道筋を辿ります。

初期の段階では、PMはバックログ管理(ロードマップツール、クラ初期の段階では、プロジェクトマネージャーはバックログ管理(ロードマップツール、クライアントポータル、要求文書、機能バックログ、バグリストなど)のトレーニングを受ける必要があります。これらのトレーニングは組織の歯車に潤滑油をさし、目標を達成をスムーズにするものです。

中期は成長するにつれ、チームを作り始め、優先順位をより強く意識するようになってきます。この成長により、組織の柔軟性、俊敏性が高まり、市場のトレンドの変化に基づいて素早く優先順位をつけ、動けるようになります。成長段階や急速な事業拡大をしている企業にとって、チームが機能やプロダクトの改善に優先順位をつけて拡大に適応していくことは非常に重要です。

成熟期に入り、プロダクトリーダーが成長してくると、市場のパフォーマンス、収益貢献、解約、コスト配分、リソース配分などの情報を含むポートフォリオダッシュボードの構築に重点が置かれるようになります。これにより、チームは目標をどのようなものにすべきかを決定し、成果を重視する役員とともにプロダクトの方向性について意見を述べることができます。成果主義の組織は、プロダクトリーダーがビジョンと戦略的意図を具体的なKPIとOKRに基づいて重視し、プロダクトマネージャーがプロダクト改善のためのイニシアチブとプロジェクトを担当できるようにしています。

以上が、プロダクトオペレーションを通じて、強力なプロダクトリーダーシップとプロダクト主導の成長を実現するための私の考えです。証拠に基づいた戦略的意思決定を行う上で、他にどのようなベスト・プラクティスがありますか?また、プロダクトリーダーとして成功するためには、他に何が必要だと思いますか?皆さんも考えてみてください。

引用元

Why Product Leaders Need Product Operations